クリスマスのシーズン、ひとり親家庭にホールケーキを贈る。そんな企画をホテルや結婚式場などを手がける「ディライト」(奈良市)が4年前から取り組んでいる。
11月中旬のある日、企画を担当する社員の中村優子さん(38)と森本夕香さん(31)は、全国からの応募メッセージを読んでいた。
〈ホールケーキを買う機会がなかなかないので、今回の企画でクリスマスを楽しい思い出にできたら嬉(うれ)しいです〉
2人は痛感していた。ホールケーキを家族で囲み、「メリー クリスマス」と笑いあう。きよしこの夜やジングルベルを歌う。それがクリスマスの思い出になるのだ、と。
応募は2千弱。それぞれに添えられたメッセージを2人は胸を詰まらせながらを読み進めた。
「ディライト」は奈良のほか、大阪、東京、熊本などでも事業を展開している。
オシャレで華やか。そんなビジネスをしている会社がホールケーキの贈り物を始めたのは、2021年の夏がきっかけだ。
奈良の寺社を拠点にしているNPO法人「おてらおやつクラブ」の代表が、ディライト経営の奈良のレストランにこんな話を持ちかけてきた。
「わたしたちは何もしていない」
「夏休み中、このレストラン…